チューリッヒから新登場した「犬のがん保険」はどんなペット保険ですか?デメリットや注意点などはあるのでしょうか。専門家の意見を聞いてみたいです。
こんな悩みに答えます!
- チューリッヒ「犬のがん保険」の特徴
- チューリッヒ「犬のがん保険」のデメリット
- チューリッヒ「犬のがん保険」に加入する際の注意点
2022年7月にチューリッヒから「犬のがん保険 骨折・脱臼プラス」なるペット保険が発表されました!
超ざっくり説明すると「がん」「骨折」「脱臼」に特化した保険ですが、特定の傷病に特化したペット保険は業界初です!
かなり特殊なペット保険のため、デメリットや加入時の注意点を解説していきます。
あくまで個人の感想や意見であるため、最終的な判断は必ず重要事項説明書を読み、ご自身の判断でお願いします。
チューリッヒ「犬のがん保険 骨折・脱臼プラス」とは?
そもそもチューリッヒ「犬のがん保険」はどんな保険ですか?
デメリットの解説前に、ざっとチューリッヒ「犬のがん保険 骨折・脱臼プラス」の特徴についてまとめておきます。
さて、チューリッヒ「犬のがん保険」は以下のような特徴があるペット保険です!
- 補償対象は「がん」「骨折」「脱臼」のみ!通院・入院・手術すべて補償
- 補償割合は100%で、年間最大補償額100万円
- 良性腫瘍も補償対象
- 付帯サービスは「ドッグパス」
それぞれ簡単に説明していきます。
補償対象は「がん」「骨折」「脱臼」のみ!通院・入院・手術すべて補償
チューリッヒの「犬のがん保険」の補償範囲はどんな感じですか?
チューリッヒのペット保険「犬のがん保険 骨折・脱臼プラス」はその名のとおり「がん」「骨折」「脱臼」の治療費を負担してくれる保険です。
「がん」「骨折」「脱臼」に関する治療であれば、通院・入院・手術すべてが補償範囲です。
入院や手術特化のペット保険はありましたが、傷病に特化したペット保険は業界初です。
上記以外の傷病は、すべて補償対象外となります。
補償割合は100%で、年間最大補償額100万円
チューリッヒの「犬のがん保険」は100%補償してくれるのですか?
チューリッヒの補償割合は100%補償タイプの1種のみで年間限度額の100万円までなら、無制限に保険を利用できます。
ちなみに、通算の保険金支払い額が300万円を超えると保険は打ち切りになります。
100%補償で限度額までなら無制限で補償はかなり手厚いですね。特定の傷病に特化しないと実現できない補償内容だと思います。
通算の保険金支払い額が300万円を超えると、保険の更新ができなくなります。
良性腫瘍も補償対象
悪性腫瘍以外も補償対象なのですか?
チューリッヒの「犬のがん保険」は悪性腫瘍の「がん」ではない「良性腫瘍」も補償対象になります。
腫瘍が悪性と判断されなくても補償されるのはいいですね。
付帯サービスは「ドッグパス」
ドッグパスとは何ですか?
「ドッグパス」はお散歩アプリ「onedog」に用意されている、チューリッヒ「犬のがん保険」契約者専用のサービスです。
ワクチン接種済証、鑑札番号などの基本情報を一元管理したり、ワクチンスケジュールをリマインドしたりする機能があります。
チューリッヒ「犬のがん保険 骨折・脱臼プラス」のデメリット
チューリッヒ「犬のがん保険」のデメリットを教えてください。
チューリッヒ「犬のがん保険 骨折・脱臼プラス」ですが、以下のようなデメリットがあります。
- 補償される傷病が「がん」「骨折」「脱臼」のみなので、ペット保険の中で最も利用頻度が低い可能性が高い
- 「がん」「骨折」「脱臼」の傷病に特化している割には保険料が高い
- 「がん」の「緩和ケア」は補償対象外
- 100%補償だけど免責金額3万円
それぞれ解説していきます。
現存するペット保険の中で最も利用頻度が低い可能性が高い
チューリッヒの「犬のがん保険」利用する機会があまりない保険なのですか?
チューリッヒの「犬のがん保険 骨折・脱臼プラス」のような、傷病に特化したペット保険はありません。手術特化のような保険はありますが、特定の傷病のみ対象にする保険はないのです。
これは言い換えると、チューリッヒ「犬のがん保険」はペット保険の中で最も補償範囲が狭いペット保険ということになります。
つまり、ペット保険の中で最も利用頻度が低い可能性が高いと言えるでしょう。
犬の保険利用で多いのが、下痢や嘔吐のような症状の通院です。これらが補償対象外なので、ペット保険としてはかなり利用する機会が少ない保険だろうなと思いました。
「がん」「骨折」「脱臼」の傷病に特化している割には保険料が高い
チューリッヒ「犬のがん保険」はリーズナブルな保険ではないのですか?
チューリッヒ「犬のがん保険」の公式に保険料がリーズナブルと書いてありますが、「がん」「骨折」「脱臼」の傷病に特化している割には保険料が高いなと感じました。
下記はチューリッヒ「犬のがん保険」の年間保険料をまとめたものです。
年齢 | 0※ | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 合計 |
20㎏未満 | ¥14,800 | ¥17,760 | ¥17,760 | ¥22,440 | ¥22,440 | ¥22,440 | ¥43,080 | ¥43,080 | ¥43,080 | ¥66,960 | ¥66,960 | ¥66,960 | ¥78,360 | ¥78,600 | ¥78,600 | ¥78,600 | ¥761,920 |
20㎏以上 | ¥25,600 | ¥30,720 | ¥30,720 | ¥45,000 | ¥45,000 | ¥45,000 | ¥96,360 | ¥96,360 | ¥96,360 | ¥153,600 | ¥153,600 | ¥153,600 | ¥183,600 | ¥183,600 | ¥183,600 | ¥183,600 | ¥1,706,320 |
犬の平均寿命は15歳前後と言われているので、生涯保険料は小・中型犬で76万円、大型犬に関しては170万円ほどとなります。
使う機会がない可能性が高い割には、保険料が安くない気がします。
手術特化のペット保険で、生涯保険料が50万円前後のものがあるので、比べてみても特段リーズナブルとは思えません。
「がん」の「緩和ケア」は補償対象外
「がん」の治療費はすべて補償対象なのではないのですか?
ここがチューリッヒ「犬のがん保険」最大の落とし穴で、「がんの緩和ケア」は補償対象外となります。
なぜかと言うと、「緩和ケア」は治療ではないからです。あくまで補償されるのは、がんの「治療」にかかった費用のみです。
この点は見落としがちなので、注意が必要です。
犬が高齢の場合、体力的な側面から治療という選択肢を取れず、緩和ケアを行う場合があります。この緩和ケアにかかる費用は「犬のがん保険」に入っていても、全額自己負担となります。
100%補償だけど免責金額3万円
チューリッヒ「犬のがん保険」は自己負担金額があるのですか?
チューリッヒ「犬のがん保険」は100%補償なので、一見自己負担金額なしに見えますが、免責金額3万円がついます。そのため、保険を利用すれば最低でも3万円は自己負担しなくてはいけません。
つまり、チューリッヒ「犬のがん保険」は自己負担金額0円で保険を利用することは絶対できません。
ほかの100%補償プランがあるペット保険の中には、免責金額なしのペット保険もあります。
チューリッヒ「犬のがん保険 骨折・脱臼プラス」に加入する場合の注意点
チューリッヒ「犬のがん保険 骨折・脱臼プラス」に加入する際の注意点を教えてください。
デメリットを踏まえた上で、チューリッヒ「犬のがん保険 骨折・脱臼プラス」に加入する場合は下記に注意する必要があるでしょう。
- ちょっとした通院には不向きで、利用する機会がまったくない可能性が高いことを理解する
- そもそも「がん」「骨折」「脱臼」が補償範囲となるペット保険はほかにもある
- 「がんの緩和ケア」は補償対象外。犬の年齢によっては、必ずしも治療ができるとは限らない
ひとつずつ補足していきます。
ちょっとした通院には不向きで、利用する機会がまったくない可能性が高いことを理解する
ペット保険の一般的な加入メリットとして言われるのが「保険に加入しているから、ちょっとした症状でも気軽に動物病院に連れていける」のような話です。
チューリッヒ「犬のがん保険 骨折・脱臼プラス」は、「がん」「骨折」「脱臼」のみが補償範囲なので、上記のようなちょっとした通院はほとんど補償対象外になる可能性が高いでしょう。
そのため、保険に加入しているから動物病院に通いやすいという心理的なメリットを得られないことは留意しておきましょう。
繰り返しになりますが、全ペット保険の中で最も補償範囲が狭いので、保険を利用する機会がまったくない可能性が高いことも理解しておきましょう。
そもそも「がん」「骨折」「脱臼」が補償範囲となるペット保険はほかにもある
「がん」「骨折」「脱臼」に特化したペット保険は業界初ですが、「がん」「骨折」「脱臼」をすべて補償対象としているペット保険はほかにもあります。
そのため、そもそも「がん」「骨折」「脱臼」の補償特化を選ぶ意味があるのか?その点は一度考える必要があるかと思います。
「がん」「骨折」「脱臼」以外でも、治療費が高額になる傷病(例えば全犬種で発症率が高い歯周病など)はほかにもあるので、必ずしも特化を選ぶ必要はないかもしれませんね。
「がんの緩和ケア」は補償対象外。犬の年齢によっては、必ずしも治療ができるとは限らない
チューリッヒ「犬のがん保険」は、あくまで「がんの治療」が補償されるのであって、「緩和ケア」のような治療目的外の費用は補償対象外となる点は理解しておきましょう。
そして、すべてのわんちゃんが「がんの治療」を行えるわけではありません。
放射線治療には副作用がありますし、手術は全身麻酔下で行われるので犬の体に負担がかかります。高齢犬の場合、治療がベストな選択ではない場合もあるでしょう。
その場合に行う「緩和ケア」は一切補償されないので、その点は注意してください。
保険に加入しているからと言って、治療を強行するようなことは絶対にして欲しくないです。
チューリッヒ「犬のがん保険 骨折・脱臼プラス」のデメリットまとめ!「がんの緩和ケア」が補償対象外なのは要注意。傷病特化の割には保険料が高い
チューリッヒ「犬のがん保険 骨折・脱臼プラス」のデメリットや、注意点について解説してきました。デメリットや、注意点をまとめると以下のようになります。
- 補償される傷病が「がん」「骨折」「脱臼」のみなので、現存するペット保険の中で最も利用頻度が低い可能性が高い
- 「がん」「骨折」「脱臼」の傷病に特化している割には保険料が高い
- 「がん」の緩和ケアは補償対象外
- 100%補償だけど免責金額3万円
「がん」「骨折」「脱臼」特化のペット保険と斬新な商品ですが、特化している割には保険料が安くないなというのが正直な感想です。
「がん」「骨折」「脱臼」を補償対象としている、フルカバー型のペット保険はほかにもあるので、それらと比較検討するのがいいかと思います。
\元ペット保険屋さんが選定 /
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